この1〜2ヶ月

久しぶりの更新になります(^^;
ここ1〜2ヶ月くらいの話を書こうと思います。

今年の梅雨は本当によく雨が降りました。6月で晴れた日(1日晴れた日)はたった3日だったらしいです。。
そんな中、弊社では今年の冬に出荷するための稚海老の生産(孵化させて養殖池に移せる大きさまで育てる)をしていました。

稚海老の生産は昨年から取り組み始めました。
昨年は、弊社の分だけでなく他社に売る分まで作ることができたのですが、今年はこの雨のせいで凄く、スゴーく苦戦いたしました。と言うか惨敗でした。。。
結果から書くと、目標を最低100万匹としていたのですが、実際は10万匹しかできませんでした。。足りない分は他社から購入したので冬の出荷分に影響は無いのですが、まさか10分の1しかできないとは。。

稚海老の生産は、養殖している海老よりも水温やプランクトンの状態で簡単に死んでしまうので凄く気を使います。
そんな稚海老の生産の作業の中でも特に難しい時期が2つあります。

まず1つは卵を産ませることです。
そもそも卵を持った海老を探すのに結構苦労します。
今年は、鹿児島の奄美にある大島くるまえび養殖場と鹿児島の甑島にある丸博水産(株)から卵を持った海老をいただきました。今年は、この時期の海老は市場で凄く高い値段がついていたのですが良心的な値段で譲っていただきました。本当に感謝です。
あと、大雨で何度か作り直すことになった時は、弊社の夏に出荷するものを使いました。
天然海老という選択肢もあるのですが、ウイルスに感染している可能性が養殖した海老よりも高いので、できるだけ使いたくなかったので今回は養殖海老のみを使いました。

卵を持った海老というのは、こういう感じです↓

卵を持った海老

背中に黒っぽく見えるのが卵です。
ちなみに、卵は臭みがあるので食べるのはオススメいたしません(^^;

卵を持った海老でも産まずに徐々に体に吸収される場合があるので、片目を焼き切って 卵の成熟を抑制するホルモンを出さないようにします。うまく処理焼き切らないと、産む前に死んでしまいます。

眼柄処理

この処理を施したあとは、できるだけ暗い環境で水温を高めにしてあげて生まれることを祈るのみ。卵を持ったからといって必ず産むわけではないところがもどかしいところです。

産んでくれた卵(たいぶ見にくいですけど、黒いところが卵です)はこちら↓

海老の卵

卵は水槽に移して1日くらいで孵化します。
ちなみに、孵化したばかりの海老は、海老の姿をしていません。
普段目にする海老の姿になるまでに、卵から4度変態します(卵→ノープリウス→ゾエア→ミシス→ポストラーバ。それぞれの姿をお見せしたいところですが、小さくて写真がうまく撮れなかったので残念)。
ミシスあたりから海老っぽく見えてきて、ポストラーバでようやく海老らしくなります。

そして、この変態する過程で1番難しい時期がゾエア期です。
水温、プランクトンの量(ph値)・種類に気を配らないと、すぐに死んでしまいます。

弊社の稚海老を作る施設には屋根がありません。
このゾエア期に1時間に数十ミリという大雨が水槽に入ってしまうと、ph値が急激に下がるで死んでしまいます。これで2度、大量死させてしまい作り直すことに。

雨を水槽に入れないようにするために、ブルーシートを張ったのですけど…
雨水が溜まらずにスムーズに流れるようにブルーシートを張るっていうのはなかなか難しいもので、大雨が降るとどこかで水が貯まり始め、それを手動で汲み出す作業の日々。。。
うちの一家は、この作業の疲れを未だに引きずっております。。


そして、ようやく水が溜まらない貼り方ができた!とホッとして作り直すことにしたら…
今度は、水にプランクトンが湧かずにゾエア死ぬ。。。
ブルーシートが、予想以上に日光を遮ってしまったようでした。

太陽が出た時にブルーシートを外すなどしていたら徐々にプランクトンが湧いて一安心と思ったのに、死ぬのが止まらない。。。
顕微鏡で水を見てみることに。湧いたプランクトンの大きさだとゾエアでは食べられないことが判明。。湧くプランクトンの種類にも気を配らないといけないんですね…orz
この時は、養殖池の水にちょうど良いプランクトンが湧いていたので、それを入れたり、餌をやる回数を多くしたりで乗り切りました。

そんな感じで、惨敗な今年の稚海老生産ですが、終わってみると悪くないと思いました。
それは、死んでしまう原因を知ることができたことです。
死んだ原因への対策を万全にすることは、これからの稚海老生産を安定させる第一歩だと思います。きっと、昨年のように大きな問題がなかったら進歩することがなかったと思うので、今年は惨敗でOKってことで!
8月の終わりくらいからは、来年の夏に出荷するための稚海老を作る予定なので、対策をしっかりして臨もうと思います。

泳ぐ稚海老

兎にも角にも、まずは施設に屋根をつける!!屋根って重要です(笑)!!

日記