かなり、久しぶりの更新となってしまいました(^^;
今年の4月、弊社では1つ池を作りました。と言っても、縦10m×横10mのかなり小さいものですけど。
この池は、卵を持った海老を飼ったり、交尾をさせ卵を持ってもらうために使います。
このような施設を作ろうと思ったきっかけは、昨年の夏の猛暑でした。
昨年の夏は猛暑の上、なかなか雨が降りませんでした。そのため、養殖池の水温は30℃を下回る日が少なく(貯め水のため、外海水より水温は上がる)、海老にとってかなり過酷な環境でした。
9月上旬、翌年の夏に出荷するための海老の孵化に取りかからなければならないのですが、そんな過酷な環境が影響したのか産んでくれた卵は孵化することがありませんでした。結局、自分のところの海老で孵化することを諦め天然の海老を買い付け孵化を行いました。
「安定した孵化を行うためには、親海老に良い環境を提供できる場所が必要だ!」
そう考えたため、この池を作りました。
完成したのは4月。早速5月の下旬には、この冬に出荷する海老の孵化のための親海老を飼ったのですが無事にたくさんの卵を産んでくれました。
そして、8月の中旬から昨年苦戦した翌年の夏に出荷する海老の孵化のための親海老をこの池で飼い始めました。
案の定、今年も暑い日が続き養殖池の水温は高い状態でした。
しかしこの池は小さなため、全体の水の入れ替えが可能。全体の水を替えることで水温の上昇も防ぐことができ汚れた水も排出できるので、海老にとって良い環境を作ることができました(できたというか、そう思うという方が正しいかも)。
つい5日前、忙しさもひと段落し孵化に取りかかれそうになったため、親海老を回収し卵を産ませることに。
しかし、回収した海老たちは既に卵を産み終えた状態。。
ここ最近、朝晩が涼しくなり水温も下がりました。良い環境で卵が成熟し、水温が下がったことで放卵したのでしょう。。確かに海老にとって丁度良い水温だもんね、、良い環境を見計らって卵を産むのは生物の本能だよね。。良い環境を作ったのが仇になった(- -;
そんなわけで、今は、出荷する海老の中から卵を持った海老を必死に探して確保しているところです(^^;
まあ、施設を作ったからといっても最終的には卵を産むのは海老の都合なので、この施設の環境下で「どのタイミングで海老は卵を産もうとするのか?」を研究する必要があるなと。ただ、そのタイミングを研究するにもこの季節は1年後にしかやってこないので、今年の失敗を忘れないようにしないと!
この先30年、この作業をするとしてもたった30回しかチャンスがないわけなので、1回1回を大切しないといけないですし、下手したら正解が見つけられないこともあるのでちょっと怖い(^^;
ちなみに、この池を作った目的は「安定して海老の卵を確保するため」の他にもう一つあります。
それは、養殖の海老を使った継代飼育による問題点の解消です。
まあ、これは科学的に実証されているわけではないのですが、養殖海老で何代も孵化をしていくと取り上げに使う籠に入らないという現象が起こるようです。ここ数年、弊社でもそう感じることがありますし、周りの業者からも同じ声を聞きます。
籠に入ってくれないと間引くことができず、海老が大きく成長できなかったり、過密な状態になり大量に死んでしまうなどの問題が出てきます。
そのため、この池を使って養殖海老と天然の海老を交尾させ、天然の海老を混ぜていくことでその現象を改善できないかと考えています。まあ、これも海老の都合なので人間が考えたようにうまく改善できるかわかりませんが(^^;